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THINK ABOUT SOMETHING.

ネットの流行性

漠然と思い出したのだけど、確か音楽CDを寸分の誤差なくリッピングできるソフトが在った筈。昔のネットってそういう「マニアックなものの総柄」が暗黙的に流行っていたように思うが、今はそうじゃない。


今はもっと統合的且つ共同的な、体験を共有できるようなソフトやスペースが求められてる。その最たる例がツイッターやiTunesで、そこにはニッチなニーズの集合が在る訳ではなく、単純に生活の基地的立場として存在している。


こういう統合者的な存在は普遍的であることが第一義で、かゆい所に手が届く必要はない。従って仮にiTunesに上記のリッピング機能が搭載されても何のアピールにもならないし、圧倒的少数派しか喜ばない。


そしてほとんどの人は少数派は放っておいて、圧倒的多数を更に多数化する方向性を求める。そのことによって基地が基地としての意味を成してくるから、これは正の連鎖だ。その結果より多くの人と体験を共有できるし、自分を展開できることにも繋がる。


ある意味では昔マニアックなネット(今回の例は全然だけど)に精通していた人間が、総じてメインストリームに汲み取られているのが、今のネットの現状じゃないか。何故なら上述した正の連鎖によって、マニアックなものはイヤでも廃れるからだ。


僕はこの流れは結構好きだけど、これは「全部入りの思想」という訳でもない。全部入りは結局誰にでもできるから、誰から見てもつまらないものに陥ってしまう。どこも同じことをするから「何でもいい」訳だ。


でも優れたブランドは取捨が抜群に上手い。取り入れることより捨てることの方が難しいが、捨てる所はバッサリと切り、それでいて破綻しない。そういうセンスを保ってきた企業というのは、やはりアップルだろう。あれこそブランドだ。


正の連鎖を生み出すのも上手いし、それを煽るのも上手い。そしてそれが破綻しないままユーザーの期待値に応え続ける。ジョブズが居なくてもこの構造が既にできあがってるから、しばらくはブランドは守られると思う。どでかいブレイクスルーが起きる時代でもないしね。