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THINK ABOUT SOMETHING.

恋の罪

珍しく友達と映画を観た。園子温の「恋の罪」だけど、自分が普段考えていることと共通したテーマだと思った。


どんな人間でも癖というか習性というか、同じような所をグルグルする性質を持っている。性癖にしてもそうだし、服装にしてもそうだし、例えば僕が同性愛になることも、ゴルチェを着ることも、先ずあり得ない訳だ。


これは極端な反例としても、人は何か得体の知れないものに吸い寄せられるようにして、その周りをグルグルする性質をみんな持っている。そしてこのグルグル回る中心のことを、園子温は「城」という名前に設定したのだと思う。


それは性癖で言えば絶対の異性であり、服装で言えば絶対の身形であり、しかしそれは台風の目みたいに幻想的で、実際には存在しないに等しいものだ。にも関わらず吸い寄せられる性質は打ち消せないし、だからこそ絶対的と言うか、その人の核なのだ。


僕は身体を売りまくる行為がそのグルグルで、小説家の夫が中心点だと思うけど、最後の最後にその夫とセックスできるシーンが来て、城は喜劇的なものか悲劇的なものかというものすごく人間本質的なテーマを叩き付けられたと思う。


僕は城(グルグルの中心)は喜劇的である、という信仰を持っているし、それを自覚化するのが芸術行為だという思想も持っている。でも菊池いずみがそう感じたかと言えば、正直よく分からないというのがこの映画に対する感想だ。


それは作中の「ピュアは入り口ではない」という言葉に通じるかもしれないし、僕みたいな薄っぺらい生活をしている者には一生理解し得ない領域なのかもしれない。僕は割と思想を理想化する傾向があるから、そういう連中に対するアンチテーゼとしてこの作品が撮られた気もするのだ。


総合的にはつまらなかったけど、監督の考えていることに自分と共通している点があったので、その洞察ができた点だけは楽しめた。そして「ピュアは入り口ではない」としても、「インピュアに出口はない」と個人的には思ったかな。