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THINK ABOUT SOMETHING.

アイデア論

イデアを考えるとき、課題を設定してそれを克服するという方法がある。このとき最も陥りやすいミスというのが『課題を克服したときに得られる価値』を見極めないまま克服に夢中になること。そして克服したときにカタルシスと価値の高さを混同してしまい、本来の価値付けと引き離されてしまうことだ。

そもそも。課題が簡単に見つかる時点でその課題は誰からも挑まれた過去を持つ。にも関わらず克服されることによって得られる価値が世の中に出回っていないのは、その提供価値が提供するに値しないものであり、既存のソリューションで十分に機能してしまっていて差し替えるには及ばないということ。

傘のアイデアでジェットで雨を散らすとか、逆さに開く傘とかあるでしょう。確かにこれらはそれぞれに提供価値があると思う。前者は軽量化とか折れないとか、後者は無駄に濡れることがなくなるとか。でも既存の傘と差し替えてまでこれらに買い換えようかと思えば、作者自身もそうしないだろうね。

これは作る前なら気づいたはずなのに、作った後は意気揚々としてるものだから、認めない。これが課題解決型アイデアのいちばん陥りやすいミスだと思う。それよりも課題を決めず、つまり得られる価値を限定せず、新提案を次々に考えてたまにハッとしたものを具体化していく、その方がいい。

もうひとつ思うのは、イメージイメージイメージ……で時折それを具体化させていくわけだけど、その具体化の処理速度が一瞬のものには光るものがある。つまり一瞬で即時解決してしまうアイデアの方が、時間をかけなければ解決できないアイデアよりもビッグアイデアになりやすい逆説的傾向を持つ。

割とベタなコピーに『原点にして頂点』というものがあるが、原点というのは即時解決の宝庫だから、言い換えれば自然なやりかたがひとつも枯渇していない場所だから、そこに最初に立ったものは原則頂点になりやすい。そういうところから湧いてくる怒涛の価値体系のようなものが自分は大好きだ。