神の不在証明
定義
神は全知全能である
公理一
全知全能は数学的記述(等価物を前提とした記述)である
公理二
万物は時系列的に流転し、その時間は不可逆である
定理一
世界に同じものは何一つ存在せず、同じことは何一つ起こらない
証明一
同一物であれ時間と空間が違えば等価物ではなくなる。人間で考えるなら時系列的に姿形は変質していくし、仮に時間を止められて空間だけを移動したとしても、移動先での温度や湿度で肌身は変質し、移動元との同一性は保障されない。この時間は不可逆故に同一軸に戻ることはできないし、また空間に関しても万物が流転する以上、完全な同一軸に位置することは不可能である
定理二
数学は現実の近似にはなり得ても、現実そのものを記述することはできない
証明二
1+1=2は自明だが、これは本来前半の1と後半の1が等価物である前提が必要である。例えばリンゴが2つ存在したとしても、これは便宜的に2つと数えているだけで、厳密には異なるリンゴが1つずつあるのみであり、即ち1という整数は存在しても、各々の1が別々の1である限り、2以降の整数は本来カウントすることができず、等価物を前提としなければならない数学に現実世界そのものを記述する力はない。これによりあらゆる数学的記述――数学のリプレイ性――は否定され、汎神論的には不可知を免れても非汎神論的には不可知を免れず、また汎神論的な全知はあり得ても数学論的に全能はあり得ない
結論
故に全知全能の神は存在しない