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THINK ABOUT SOMETHING.

アンフォルメルからフォルムへ

昨日久々に軽い運動をしたこともあって、今日は朝から変身願望ということについて考えていた。理想像自体は誰の中にもあるだろうけど、それに対する願望ではなく、それに到る方法論の願望についてだ。例えば即座に筋肉質になる方法はないか、などと言った願望がそれだ。

 

何度かつぶやいている通り、僕は変身というものはあり得ないと思ってるし、その対義語に『漸進』を置いている。簡単に言えば『ローマは一日にして成らず』であり、アンフォルメルから始まるグラデーションがあって、その最後の白み切ったところが理想像であり、その中間を省くのが変身という矛盾だ。

 

方法論についての変身願望というのは、おそらく永遠に繰り返される。バルクアップであれシェイプアップであれ、即座に理想に辿り着けるものを誰もが求め続ける。それは冷静に分析すれば『どれもが失敗している』ということなんだけど、商業的に言えば『飛んで火に入る夏の虫』な訳だ。

 

変身が本当に達成できるなら、そこには一つの指導書があれば十分で、方法論が溢れ返る訳がない。どれもが失敗してるから、ある訳のない場所(変身を煽る場所)に本物を求めて、転々とする。そうやってグラデーションの始端から終端にワープするという矛盾を、人は何度でも探し求める訳だ。

 

伸び代の差はあれど、内なるグラデーション自体は誰にでも備わってるし、その白み切ったところには漸進でのみ辿り着ける。継続は力なりだ。世界はデジタル的なステップではなく、アナログ的なステップレスだからこそ、『中間の省略(デジタル)』はできないし、無限(アナログ)には逆らえないのだ。

 

ジムで頑張るのは当然漸進だし、ステロイドを使うのも高速な漸進に過ぎない。段階飛ばしなんてことは誰にもできないし、省略したい中間のところで頑張っている人達こそが、白み切ったところに辿り着く。変身を煽るような謳い文句があちこちで飛び交う中、何故彼等が居るのかを考えるべきだ。

 

ちなみにアンフォルメルのままグラデーションを勝ち取る最たる例が、今述べたステロイドだ。これは中間を省略したがる層の要望に合致するが、そんなやり方では本当にルックス的なものにしかならないし、ファイトクラブが批判するような物質主義的ファッションの延長線上で終わると僕は思う。

 

ガリの僕がこんなことを言ってもちゃんちゃらおかしいんだけど、健全な精神は健全な肉体に宿るし、それこそがアンフォルメルから始まるグラデーションの白み切ったところ――聖なるフォルム――ということになるから、一度落ちた精神をリハビリする為、しばらく運動してみようと思います。